チームラボのコンセプトとか貢献とかを考える
職場の方々やインターンに参加された方々が、色んな考えの下にチームラボや作品の制作について語ってたので、 何となく自分の「今の」考えの断片とかをまとめておきたく、文章にした次第です。思うままに書いているので(多少の校正はしましたが)すごく長いです。
この投稿はチームラボ公式のものではなく、ここで述べられているのは、あくまで個人の思っていることです。 これまでに関わってきてきたすべての人が、それぞれ多様な考えや志を持っていることは言うまでもありません。念のため。
チームラボ、デジタルコンテンツの楽しみ方?
なんだか大げさなタイトルにしていますが、メインタイトルと同じように、特に良いタイトルが思いつかなかっただけです。 「シンプルに、何も考えずに好きなように楽しむ」「技術や仕組みを楽しむ」とかで良いと思います。
ただ、作品制作においては、作り手の意図、思想、コンセプトがあったりするわけで、そういった背景を知った上で作品に触れて貰うと、 もしかすると、もうちょい別の楽しみ方ができたり、何かプラスに働く要素があるかもと思っています。
(チームラボに関わらず、デジタルコンテンツ全般も、いわゆる従来のアートと変わらない、そういう側面がありますよね、とでも言いましょうか。 単純に気持ち良さ、カッコよさ、楽しさだけを追求するものもモチロンあって、それもそれですごく良いのですが。)
作家の背景を知っている作品は、意図や性格が垣間見えたりして面白かったりしますし、 知らない作品でも、解説とか豆知識を紹介してくださる方がいると、見て回るの面白かったりしますよね。
チームラボでは多くの人が関わって1つのものを作り上げていきますが、代表である猪子(さん)の思想が少なからず含まれています。 製作関わる個々は、もちろんそれぞれの思想や意図、特に拘りを持ってモノを作っていますし、 当然のように誰彼問わず、意見が食い違い、色んな考えが混ざって出来上がっていくのですけれども。
その猪子(さん)の、あくまで思想(というか考え方?)の一部なんですが、最近公開された、堀江さんとの対談の中で、分かりやすく良くまとまっていると思うので、 もし興味を持ってくださるのなら、目を通してみてください。このブログページの以降に続くコンテンツは、この対談の内容を踏まえたものもあります。
堀江貴文×チームラボ代表・猪子寿之が語る「アートが変える未来」以前から、このような雨の話、ウォーホルの話はされていて、 この対談に限らず、過去のインタビューなどでも良く語られているのですが、なぜかこの対談は良く広まって、世間の関心を惹いたようですね。
もちろん上の内容は一部であって、この他にも、イベントや展示、作品毎のコンセプトや狙いがあります。 それは多くの場合にインタビューなどで公開されているので、作品を見に行く前に、探して確認してから見てくださるのも、楽しみ方としてはありかなぁと。 (もちろん公式の作品のページにも掲載されていたりするのだけれど、イベント系だと特に、インタビューの類の方が分かりやすい?素が出てる?気がします。)
その他の例:御船山 かみさまがすまう森
後から見られた方ごめんなさい、せっかくなので、最近展開されているイベントを紹介しながらの例です。
最近会期延長された御船山の展示ですが、「普段は中々凄さに気が付かないだろう、っていう自然の造形物に、デジタルコンテンツを投影することで、 人の目を再度自然に向けて貰えたら良いな」という趣旨とかコンセプトもあり、結構思い切りが良くて好きです(確かそういうことを言っていた)。
その他の例:他者の存在をポジティブに
紹介した対談の中で語られていないコンセプトの 1 つに「他者の存在を肯定的にする」といったニュアンスの物があって、 チームラボの作品には広くこの考え方 ? が含まれていると思います(そうと誰も口に出さなかったりしますけれども)。 これについて紹介されているインタビューもあったハズ。
チームラボの作品の一部は、他の人が存在して初めて華やかになったり、変化が起きたりします。 つまり自分一人だけが存在するときと、複数人いるときとで、見え方が変わり、複数の人がいたほうが良いね、ってなると言うことです。
ふつう、沢山の人が作品を楽しもうとすると、邪魔などの理由で、他者にネガティブな印象を受けがちですが、 それがポジティブになるなら、それに越したことはありませんよね。
例えば、境界のない群蝶であれば、人が存在しないと蝶はたくさん生まれません。 お絵かき水族館をはじめとするお絵かきシリーズや、小人の住まうテーブルなども、 他者が描いた、作ったものと影響し合って全体が彩られ、楽しくなるような作品です。
クリスタルユニバースとか滝とか
「恐らくきっとそういう意図とか考えてなかっただろうなぁ」ってクリスタルユニバースとかも他者の存在がポジティブになる一面がある気がしていて、 一人で楽しむこともできますが、中にいる人よりも、それを周りから少し引いて見ている人の方が、 全景やオブジェクトの形状は把握しやすい、なんて特徴があると思います(どこかで誰かとそんな話をした記憶)。
滝の作品とかも、絵的には、他の人が滝を割っている姿を引いてみるのがカッコよかったりします。
ただ体感、体験としては、中に入って、実際に触れるのと周りで見ているのとは全然違うので、 やっぱり中に入ってみるのも、それはそれで別の感覚があり、別の楽しみがあります。
まぁチームラボの作品に限らず、美術品、水族館、動物園もろもろ、展示物っていろんな角度で見たり触れたりするのが楽しいですよね、気に入ったものであれば特に。
実体験?面白かったこと
自分の目から見ても「他者の影響に関して」面白い例があったりして、 例えば、インタラクションの説明がなくても、何となく他の人を見てインタラクションしていることに気が付き真似してみたり、 あるいは、自分たちも想像しないような遊び方・楽しみ方をしている人たちがいて、そういう光景を見ると、面白いなぁと思っています。
あんまり説明説明されていると野暮な感じがして、そういう気付きがあったりするのが面白かったり。 他人から自分へ、自分から他人へ与える影響とかが、見えて面白かったり。
まぁひょっとするとネガティブな面が見えることもあるかもしれませんが、そこは「人の振り見て~」ということで。 気づきがあるなら、それは良いことだと思います。アートやコンテンツに限らずですが、互いが影響する作品だからこそ気が付きやすい、 と言うことも、ひょっとするとあるかもしれない。
変な楽しみ方
余談ですが、最近インタラクション・センサーの類を如何に誤反応・誤認識させるか、なんて楽しみ方をしている人がチラホラいて面白いです。 何人かでまとまってみたり、四つん這いになったり、飛んだり跳ねたりしてみたり、手足以外を使ってみたり、変な色つかったり、はみ出してみたり、ひっくり返してみたり。
直接触れるなりして物理的に故障を来たすような方法だったり、特徴を理解した上で誤作動させるようなものを持ち込んだり、 演出に多大な影響が出そうな方法はもちろん止めて欲しいですが、そういう楽しみ方もありと思います。
技術に興味を持つきっかけになるのも良いことですし、 ギークな人の関心を惹けるのも良いこと…のハズだ!むしろそういうことに関心のある人はチームラボに来ると楽しいかもしれないです(やわらかな勧誘)。
teamLab の貢献?功績?
概念や価値観に影響してる…のか?
最近になって、何らかのデジタルコンテンツについて「チームラボっぽい」とか「チームラボのような」というか、 そういうニュアンスの発信、文脈をチラホラ見かけていて、それはとても凄いことじゃないかと思っています。
つまり、"それ"はプロジェクションマッピングだったり、センシングを伴うインタラクションだったり、 単にデジタル出力された映像コンテンツなのかもしれないのですが、"それ"を誰かに伝えるにあたり、 「チームラボっぽい」と伝えようとする、というのは凄いことなんじゃないか、ということです。
大げさに言えばゼロックス、バンドエイドに近い感覚かと思います。 先の思想の話やアートになぞらえて言えば、ウォーホルっぽいとかラッセンっぽいとかって話です(実際にそうかどうかは別におく)。
「チームラボっぽい」という文脈?概念?が見えてきていると言うことは、 新しい価値観や、文化というか、概念のようなものが生まれて来てるんじゃないかなぁと思っています。 これは先に紹介したように、猪子(さん)の言う所の「新しい価値観を見出すことに近づいている」現象だとも思っています。
作品名というより名前?
ちなみにですが「ラボっぽい」とかって直接的な表現以外にも、似たような現象があると思っていて、 「チームラボに行ってきた」とか「チームラボ楽しかった」とかって SNS などの投稿を見ていると、 「作品名・作品個々よりもチームラボとして認識されてる」んだなぁと。
作品名は横におき、チームラボであると。概念化しているというか、 そういう何かが生まれてきているような気がしてきています、(私個人として勝手に)面白い。 あるいは、アートコレクティブ・チームラボとして活動している、と主張してきたことの成果なのかもしれませんが、いずれにせよ「すげー」です。
単純に、広い普及は貢献してるんじゃ?
「チームラボは芸術などの文化・歴史面に貢献しているとかいないとか」なんて話題を偶に聴いたり見かけたりしますが、 その真偽は兎も角として、(1) デジタルコンテンツ・インタラクティブ作品に対して、導入・活用の敷居が下がるような環境を作り上げてきたことと、 (2) 東京だけでなくて、各所で展開してきたこととは、周囲に多少のプラスの影響を出してるんじゃないかなぁと思っています。
敷居が下がってたら良いね
ひょっとすると、私が思うよりももっと沢山の人たちがデジタルインスタレーション(あるいはアート)のようなコンテンツを作って生活してきたのかもしれませんが、 多分、それなりの収益をあげられる個人や団体は、本当に最近までは少なかったんじゃないかなぁ、と思っています。
「デジタルインスタレーションは活用できる、対価を得られる」と広まってきたのは、 これまでに熱心に制作し、活躍してきた個人や団体の影響があるはずで、その一員には、チームラボが入っていても良いんじゃないかと。
これは私の勘違いかもしれませんが。そうであったら価値あることなんじゃないかと。 (チームラボ周知されてきたその頃、まだ自分は学生ですが、もし今そういう面で貢献できているなら嬉しい、まだ大したことはできていないですが)
まぁその真偽のほどはさておいて、もし昨今に、デジタルコンテンツ活用への敷居や、 もっと言うとペイに対する敷居が下がっているのなら(クライアント・スポンサーもさることながら、見に来てくれる方たちからのも含む)、 それは多くの作りたい人たちのプラスになっっているはずです。逆に言えば今が頑張り時なのかも。
そして、もし本当に影響を少しでも与えているのだとするなら、クライアント・スポンサーの方々や、 一緒に作ってきてくださった方々の理解、サポート、一緒に挑戦してくださる心意気というか姿勢というか、そういうものがとても大きいと思います。 現行、今現在、現場に出させていただいている自分も切にそう思っています。
主要都市部以外での開催
もう 1 つの貢献は、東京だけでなく、日本の各地で作品を展開していることだと思っていて、 デジタルコンテンツの面白さとか、活用法とか、価値観を伝える切っ掛けになっているんじゃないかと思います。
広く展開できるようなノウハウを積んで、実際に各所で同じ作品を展開しやすくしたことは、きっと良いことで、 都市部にいる一部の人でなくても、触れる機会があるって、普通に考えて(少なくとも自分なら)ハッピーです。
「量産型である」とか「同じようなネタ」という意見もチラホラと見えますが、 展示の度に作品や展示方法はブラッシュアップしていってるので、そういうところは(我々にとっての)プラスでしょうし、 各所で展開して、多くの人にリーチするのは(見てみたい人たちにとって)、客観的に見てもプラスであるように思えます。
良い商品・道具・発明が出ました、しかし一部の人しか手に入りません、よりは遥かに幸福度高いような? 「人類を前に進めたい」って考え方とかは、 こういう所に効いてきてる気がします(本当かな?)。
猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉- PLANETS紹介:メイキングの紹介・講演イベントがあります
後から読まれた方ごめんなさい、イベントの紹介です。別に会社命令があるわけでもないのですが、 大変お世話になっている方たちが出演されるので紹介したいのと、この記事を読まれた方の中には興味を持たれる方がいらっしゃるであろうと思い、ここで紹介しております。
この投稿の公開日よりかなり日付が近いですが、9/21, 22 に開催される、 「Autodesk University Japan 2017」の22 日に「チームラボのチームワーク」なる公演があります。 実際に製作した作品を例に「どのような人たちが、どのように作品を作っているのか」を紹介するような内容になっております。 ディレクション、イメージ作り、絵作り、サウンド、センサーなんかの話がちょくちょく出るようです。
詳細は把握していませんし、どこまで表に出せるか確認していないので、これ以上の情報をここで紹介することができませんが、 興味のある方は是非に。dot by dot さん、ライゾマティクスさんなどの講演もあり中々の盛沢山な内容になりそうです。
Autodesk University Japan 2017紹介:どんな種類の技術を使っているか?技術書典への参加
こちらはもう全く会社関係ない個人活動なので、お読みいただいた方には申し訳ないのですが、 プログラミングベースでデジタル作品を作っている方々が集まって技術書典に同人誌を出します。 同分野に興味がある方がいれば、何かしらの参考にはなるかと思い、宣伝している次第です。
選考は通っていて、執筆始めてる著者もいます。著者はひょっとすると減ったり増えたりするかもです(増えそうな予感もしている)。 内容量どれくらいになるかはまだ未知数です。
技術書典3 技術書オンリーイベント IndieVisualLab内容的には Unity を使ったビジュアルグラフィックスプログラミングの解説、とざっくりしておりまして、 「同人誌だしゆるふわでも」と始まったのですが、他の方々がハイレベル過ぎるので、 自分の担当分がチープにならないか、今から不安です(このブログの焼き直しになる可能性…?)。
著者の方々は皆すごい人たちばかりで、尊敬しているために、 本当はそれぞれ紹介したかったのですが、長くなりそうなので割愛させて頂きます。また機会がありましたら。
IndieVisualLab のページから、執筆予定の方々の Twitter なり github アカウントなりが見えるので、 どんな活動している人であるとか、どんな作品作ってきた人だとかは見て頂けると思います。
あとがき
長いお時間を頂きありがとうございました。最近は「いつまでチームラボで貢献できるか分からないなぁ」と思いながら生活しています。 いやひょっとしたら貢献できていないのかもしれないけれど、少しでもできていると信じたい。
この投稿が、皆様の何かしらプラスに働いて欲しく、せめて少しでも何かを考えるきっかけになれば幸いです。 どこかでそれを見かけて、それを活力に頑張りたい。
- 反省
- 長い。
- 良いタイトル、小題が全然思い浮かばない。
- 炎上しないか不安。
- 批判的なことも書いても良いんじゃないかと、大変お世話になった方からコメント貰った。
- 最後の余談
- 正:teamLab, 誤:TeamLab という豆知識。