検索サイトのルール改訂は確かに影響が出る
2015 年 4 月 21 日、Google が検索結果ページの順位付けルールを改定しました。 内容は「スマートフォンなどのモバイル端末向けの表示に対応しているかどうか、を順位の判定要因にする」というものです。 都合が良いことに「同じジャンルで、モバイル向けの対応をしていない、更新を止めた旧サイト」を運営していたので、 実験のためにそのまま放置して、ユーザ数の変化を比較できるようにしてみました。
アップデートから一か月の間様子を見ましたが、確実な変化が見られます。 ここでは私が運営しているサイトから 3 つを比較し、ルール改訂の影響について考察した結果を紹介します。
- UU(ユニークユーザ)で比較しているのは、平均掲載順位では変化が小さく分かりにくかったためです。
- ルール改訂から 1 か月当時の環境に基づいて執筆しています。 したがって、閲覧時点でのルールや実験環境は変わっているかもしれません。 (旧サイトもアクセス数がそれなりにあるのでレスポンシブ移行しているかもしれません)
各サイトとユーザ数の変化の比較
3 つのサイトのユーザ数の変化を紹介します。解析システムは Google Analytics 、期間は 2015年1月1日から、2015年5月20日(21日)までです。 また赤線が Google がルールを改定した 4月21日 です。
先に結論から言うと「モバイル対応よりもコンテンツの方が重要視される」が「モバイル対応と非モバイル対応の差は大きい」ようです。 何より検索エンジンの提案するルールには確かに従ったほうが良い、ということが良く分かりました。
Neareal.net
Neareal.net は、私が大学の学部生の頃に学んだことをメモした個人用 Wiki サイトで、主要なコンテンツは IT 技術です。 現在は更新を止めてしまっていて、レスポンシブデザインなど、モバイルユーザ向けの対応を行っていません。
それなりな数の資料とニッチな資料を残しているためか、2015 年 5 月現在でも 1500 PV / DAY 位は見て頂いています(古臭く、デザインも何もないサイトにも関わらず)。 技術回りのコンテンツを中心に扱うためか、平日のアクセスが特に多く、休日になるとアクセスが減るという特徴を持っています。 そのためグラフが波形になっていますね。
ルール改訂以降のグラフの波形は明らかに乱れています。ただし極端な影響はこのサイトからは見えません。 元々技術回りのコンテンツを主に扱い、PC からのアクセスの方が圧倒的に多いことが原因かもしれません。 また、先の通り比較的ニッチな内容を取り扱っているので「コンテンツが重要視されている」であろうことも推測できます。
NEAREAL.com
NEAREAL.com は、Neareal.net の後継サイトです。 こちらのサイトはレスポンシブデザインによってスマートフォンなどのデバイスに対応しています。
主要なコンテンツは同じく IT 技術回りで、平日のアクセスが多く、休日のアクセスが少ないという、特徴的なグラフの変化も同じように見られます。 そして Google のルール改訂日からは明らかにユーザ数が伸びています。
旧同ジャンルと主要コンテンツは同じで、相変わらず PC からのアクセスの方が圧倒的に多いわけですが、 それでも目に見えてアクセス数が伸びています。全体のアクセスの内、モバイルデバイスのアクセスは 10 % 位しかないのですが、 ルール改訂によって順位が上位に上がることで、PC からのアクセスも伸びたと判断するべきでしょう。
Neareal.net と Neareal.com を比較すると 2 つのことが分かります。 1 つは「コンテンツの価値 > モバイル対応」であること。 内容が確かにマッチしていれば、モバイル対応していなくても極端な変化がみられない。 したがって、ニッチな需要を持っているサイトの場合は影響が小さいかもしれません。 ただし確実に影響は出始めています。
もう 1 つは「モバイル対応 > モバイル非対応」であること。モバイルからのアクセス数に関わらず、 モバイル対応とモバイル非対応の差別化は明らかで、競合するようなサイトが存在するときは、 確実にモバイル対応しているサイトが上位に来るでしょう。
PLAYGO.jp
PLAYGO.jp は、GoPro(アクションカメラ) について書いたサイトです。 開設から1年未満の出来たてで、徐々にアクセス数が伸びて行っている成長過程のサイトです。 緩やかではありますが、ユーザ数も PV もずっと右肩上がりで伸びています。
元々レスポンシブデザインに対応していたためか、こちらのサイトでは大きな変化がみられません。 GoPro に関して取り扱った記事は沢山ありますが、GoPro やアクションカメラを専門とするライバルサイトはこの時点では少ないですし、 大きな順位変動がなかったと見るべきでしょう。各個ページのアクセスには大きなバラつきがあるので確かな判断材料にはなりませんが、 平均インデックス順位のグラフを見てもあまり変化がみられませんでした。
「元々レスポンシブ対応している」か「ライバルが少ない」などの場合には今回のアップデートの影響は小さいのでしょう。 Neareal.net も影響は出ているものの、ニッチな記事のアクセスは変わらないようですし。 あくまで「コンテンツ > モバイル対応」です。