チームラボで作品制作に関わって1年経ちました

Floating in the falling universe of flowers

teamlab.art より引用。

チームラボのインタラクティブチームに入れて頂いてからおよそ 1 年間が経過しました。 自分の記録目的でもありますが、チームラボや「制作に関わることを仕事にすること」に興味がある人へ向けて、 わずかな足しにでもなると良いなと思いこれをまとめています。

前書き

このコンテンツに目を通して頂くにあたって、予めいくつかのことを断っておきます。

このコンテンツには半ば宣伝的な内容が含まれていますが、完全に自由意思で書かれています。 また正確さを欠く内容もあるかと思います。

特別の明記・名言がない限り、別所を含む、私個人のあらゆる発言やそれに準ずるものは、 私の所属する一切の団体やそれに準ずるものに関せず、私個人の見解や思想に依るものです。

制作に関わった作品

まずは 1 年の内に関わった作品について紹介したいと思います。

お台場で開催されていた DMM.PLANETS の中の 1 作品「Floating in the Falling Universe of Flowers」が処女作です。 これを新人に任せるあたりがチームラボの思い切りの良さを表していると思います。

自分が入った年度から試験的に始まった新人研修の後、5 月になってチームに合流してから、7 月 16 日 にリリースするようなペースでした。 (作品によってスケジュール感は異なります)

当時はプレッシャーが酷く大きかったです。リリース前に本番環境でないと起こらないバグなんかが起きたりして、ドームの中で徹夜したりと色々とアタフタしました。 カタリストの方々には大変心配かけたかと思います(進行を管理する役職です、後述します)。

言葉にするとチープな感じがしてなんですが、空間を漂うような、重力を無視するような感覚を狙って作っています。 ジェットコースターとか諸々のゲームとか映像とかを参考にしています。

関連して VOGUE さんとのコラボレーション企画などにも参加させていただきました。

シンガポールとロンドンで旧作品「境界のない群蝶」のリメイクをやりました。 今は退職され、フリーランスとして活躍されている「すぎっちょ」さんの跡継ぎ作品です。

過去の群蝶では一部の作品の内部にしか侵入できなかったものが、リメイク版ではあらゆる画面・作品に侵入し、出ていきます。 作品に入り込むと、その作品の様子に溶け込むようになってたりします(動画では分からないですが)。

技術詳細は明かせませんが、これもまた紆余曲折トラブルがあり、結構ギリギリまで検証がすまなかったりして、 カタリストの方々に大変心配かけたかと思います。

また蝶が入っていく映像作品自体は別の方の制作ですが、動画の再生環境の開発についても自分が担当しています。

振り返れば他にも多々ありますが、長くなるので割愛します。 DMM さんの新社屋に入っている、テーブルのデザインや壁を行き来する動物のテクスチャ生成 etc などは最近の仕事です。

他に主要な開発ではないものの、お手伝いした例も多々ありますし、 入社してから開発したコンポーネントや資料を他作品の制作に役立ててもらって、微々たるながらも貢献したつもりでいます。

なぜチームラボを選んだのか

方々に失礼にあたるかもしれませんが、私が手を伸ばして届くかどうかの範囲にあり、 かつ興味を持てる分野で、初めて就職する、20 代の今このタイミングでしか挑戦できないであろう企業がチームラボでした。

もう少し現実的な言い方をすると、アートやインタラクティブな作品をマネタイズし、商業的に成立させている会社で、 かつ現実的に自身の生活を(一時的にでも)担保でき、能力的に受け入れてくれる可能性がある、という条件に見合った会社です。

伝えにくいですが、少々精神論的な話でもあります。

私のこれまでの生きる上での目標というか指針は「持たざる者の限界点」です。 残念ながら私はあらゆるものに才能がありません。運動・美術・音楽・勉学 etc あらゆる分野においてです。 ゆえに何時でもワチャワチャともがいています。

いざ就職先を探すにあたって、(世間的な評価や良し悪しは置いておき、) 世界に作品を出しているこの企業で、 もし自分が作品の制作に関わることができたのなら、それは才能がない人間の、一つの到達点にできそうだと思いました。

結果的に作品の制作に関わることができたので、精神論的な部分での目標は十分に達せられています。 そういう側面では、チームラボを選んだことに満足しています。

就職活動されてる方へ向けて

繰り返しますがこのコンテンツは個人の見解です。主に新卒学生向けです。 (少なくとも執筆時点では) 私の方が若輩者ですので、転職を考えている方に当たっての参考になるかは定かでありません。

ベンチャー企業への就職を考えている人へ

もし希望する企業でインターンシップなりアルバイトが募集されていたら、積極的に参加してみるべきです。 そうでなければ、類似する企業のものでも悪くないです。私は参加しませんでしたが、参加するべきだったと思います。

インターンなりアルバイトにも選考はありますが、たとえ落ちたとしてもメリットはあります。

そもそもアルバイトなりインターンに通過できないようなら、現時点でその企業の内定をとることは先ずありえません。 自分の実力をしる機会になります。

受かれば実際に職場の雰囲気を体験できますし、業界の情報も多く手に入るでしょう。 もしも空気が合わなければ別の職種・企業を考える手立てにもなります、入社以前に気が付けるのは大変良いことです(企業側にとっても、参加側個人にとっても)。

もちろん相応の準備が必要になるかと思います、インターンのために時間も使います。受ける場所、受ける条件は考えた方が良いです。 数打てば当たるが良い場面もあるとは思いますが、この状況に限っては推奨しません。

何かを作ること・芸術または学術を仕事にしたい方へ

まずは作りたいものを作る

「アートや音楽、映像その他の芸術、ゲーム、その他のデジタル・アナログ技術を使った何か」を作ってみたいと思う人がいたとして、 「一度も作ったことがないけども、やってみたい」は、中々に受け入れられない傾向にあると思います

現実的には職種やジャンルにもよると思いますし、人手が足りない、育てたいという場所も多いとは思いますが、 少なくともチームラボの作品制作に関わるチームの採用はそういった傾向にあります。

個人的にも、何か物を作ってる人の方がカッコよく見えて素敵です(下記へ続く)。

これだけ情報が広がっている現状を見れば「やりたければ、やってみれる」ハズで、 特にデジタルを伴うものであれば、それをやっていない人材と、(形はどうであれ)積極的に自分でやったことがある人材とでは、 後者が受け入れられ易いのは必然な気がしています。

目を引く人

個人の主観ですが、インターン・アルバイト・中途・新卒に関わらず、 目を引く人、選考を通過する人は、学校・大学・企業での制作とは別に、個人の活動の範囲で物を作っている人が多いです。

そしてそれをアウトプットして発信しています。 その人自身の個性や得意な分野、好きなもの、好きな表現が見えます。そしてそれが面白い。

チームラボにインターンやアルバイトに来るような方たちは、個人で制作していたり、 そうでなくても中々にこだわりを持って物を作っていたりして、中にはほぼプロ活動しているような方もいたりします。

チームラボ社内においても、職種に限らず、作品を作ったり、色んなジャンルの芸術・創作活動に精力的な方が多いです。 そういう人はなんだか常日頃から進化していてカッコ良いです。

(WEB 寄りのエンジニアの方とは距離が離れがちですが、少なくとも同期は色々作ってたり、活動しているのを見ています)

勿体ない人

勿体ないなぁという人もチラホラと見かけます。知名度の高い名高い大学の出身であったり学業優秀な方でも、 「当人が何をやったか良く分からないポートフォリオや作品、その他ソースコードなど」が提出されては、 判断のしようがないので、結果通過していないように見えます(色々見るにチームラボに限らずかと)。

内容または基本能力的には、絶対凄いのに、人に届いてないです。凄い勿体ないです。

作品を作られている方も、その企業に届けたい作品を一番上に持ってくるくらいの工夫があった方が良いと思います。 もしくは沢山あるけど特にどれが良くて、どこを、どういう意図で、どう工夫した、力を入れたみたいな。でなければ、どういう仕組みであるか、とか。

これは単に能力の低い自分がしてきたことだから目につき、能力の十分高い人には必要がないことなのかもしれませんが、 兎に角もったいないと思います。

チームラボの職種について

目を通してくださる方のいくらかは興味があるでしょうから、私が分かる範囲で (かつ公開の許可される範囲で)、チームラボのいくつかの職種について紹介します。

もし他に情報が必要なときは公式を参考にしてください。

WEB 系エンジニア

アート系が表に出て目立ちがちなチームラボですが、WEB の分野でも活躍しています。

(社内?)サーバー管理、ECサイト、レコメンデーションエンジン、Webサイトの開発他諸々。 残念ながら私には詳細は分かりませんが、WEB に関する様々な開発に取り組んでいるチームです。

WEB チームであっても、クリエイティブな側面が見えることは良くあって、 WEB とは直接の関係のない開発・勉強会に取り組んでいる方もいれば、インタラクティブチームに転向してくる方もいたりします。

恐らく私には分からない範囲で WEB 技術についても、クリエイティブしてるんだと思います。 (仕事やイベントの本筋とは別に面白い物を作ったりしている同期もいたりすることから察するに)

企業全体ではアートよりも WEB 開発の方が仕事が多いですし、普段からアートの制作を支えてくれているチームです。 アート系チームとの直接の関りは少ないですが、サーバー・DB・スマホアプリなどの連携が必要な場合には、一緒に開発することがあります。

カタリスト

他所ではあまり聞かない名前です(日本語では「触媒」)。 大ざっぱに言えば、全体の企画・提案・進行・スケジュール管理・取引先との連絡などを担当してくださっています。

WEB 系と、アート系のカタリストがいて、申し訳ありませんが、WEB 系のカタリストの実態は私にはわかりません。

アート系に関しては、必要機材の輸送手続き、納品時のやり取り、 人によっては、ネットワークやプロジェクターの設計、現場での設営、機器接続の検証も担当してくださることがあります。 得手不得手があるので、個人の得意分野や持てる技術に応じて仕事の内容は変わります。

タフネスが必要ですし、上手く人と人とを繋ぐ能力も必要ですし、人によっては先のような専門技能や外語能力を有しています。 個人の活動においても精力的な方もチラホラいて、兎に角パワフルだなぁと思います。カタリスト自身が作品の制作能力持っていたりもします。

色々書きましたが、カタリスト当人の話を聞かないと、カタリストとは何かというのは分からなさそうなので、 興味がある方はカタリストの方とお話しする機会を作ってもらうのが良いと思います。

ハードウェア(工作室)・CV

工作室ではチームラボボールなどのハードウェアを開発したりしています。 同じく作品の類を作っているインタラクティブ・映像チームとは少々趣が違います。

自分は 1 年の間に大きく関わることがなかったので詳細分かっていませんが、大枠にはチーム別ですよ、ということの紹介でした(もちろん連携することもある)。

CV チームはセンサーやカメラを使ったセンシング技術を開発しています。インタラクティブアート作品と連動して機能するように仕様を合わせ、現地で共同で作業したりします。 個人的には縁の下の力持ち感が凄いです。

一般的には工場系センサーや防犯カメラなどにも同技術を生かしていそうですが、アートの一部としてセンサー系の技術者を募集するって珍しいですよね(多分)。

インタラクティブチーム

リアルタイム描画するタイプの作品を作っています。ただしハードウェアだけで完結するものは先の通り工作室が担当されることが多いです。 (クリスタルユニバースなどの LED 彫刻についてはインタラクティブチームがコンテンツの制作を行っています)

中途の方も多く在籍していて、最近は多国籍チームになってきてたりもしています。 中途の方で言えばゲームの関係の開発経験をお持ちの方が多いです(ほとんどそうかも)。 新卒に関しては、私の代では自分 1 人、次の代も 1 人が新卒で採用されています。

仕事の規模感や内容については、いつもチームを支えてくださっている福永さんが大変良い資料を公開されているので、参考にしていただければと思います。

その他のチーム

非リアルタイムのアート作品を作る映像チーム、グラフィックやサイトデザイン、イメージビジュアルを作るデザインチーム、 広報などを担当するソーシャルブランディングチームなど、まだまだ多彩です。

映像チームであれば 3DCG モデリングのスキルやテクスチャ生成のスキルなどが必要になりますし、 デザインチームでは Ai や Ps は言うまでもなく、ソーシャルブランディングチームでは外語などの能力が重宝されているように見えます。

中途採用・インターン・アルバイト

ざっくり紹介しましたが、インターンやアルバイトの募集は現在も通年で続いているようです。 詳しくは採用ページや公式ページを確認していただければと思います。半ば宣伝していますが完全に自由意志で書いています。

ものづくりが好きな方!チームラボのオフィスでお茶しませんか? 」 なんてイベントも期間限定でやっていたりするようです。ないとは思いますが希望があれば自分ともお茶できます。

またこれとは別にオフィス見学が開催されていることもチラホラありますし、 同企画ないし類似する企画についても、多分また別の機会に開催されたりすると思います。

もしこのページ・コンテンツをきっかけに、採用やその他に応募される方がいらっしゃいましたら、 そのときは是非に「このページを見たと書いくなり、伝えて頂ければ」私が大変喜びます。

その他の就職に関する話題

折角なので、就職活動について色々言及しておきます。

モノづくりには(チームラボには)どんな人が向いてますか ?

チームラボに限ったことではありませんが、モノづくりを仕事にするなら、こだわりを持っている人が良いと思います。

こだわりは個性と言い換えても良いかもしれません。あなたの個性は何かと聞かれると中々答えにくいですが、 何か物を作ったとして、どこにこだわった、っていうのは個性が出ている気がします。

それは設計のレベルなのか、表現のレベルなのか、普段の作業なのか、それ以外の部分なのか分かりませんが、 こだわりを持っている人たちが、どこにこだわってるとかって話を聞くと、大変面白いし、感嘆します。

時代が変わり制作枠が公募されるようになってきた

実は進学より以前に一度採用試験を受けていて、内定通知を頂いていましたが、 その時は WEB 方面への配属も視野に入れた大枠でのエンジニアとしての採用であり、実際、採用試験も Web 寄りの話題でした。

私の興味分野は伝えていましたが、意図するものと違っていたのと、その他の要因が重なったため、当時は辞退して、 一昨年に改めてインタラクティブ採用枠を受験した次第です。

たった数年ですが、今では映像やインタラクティブチームに専用の採用口があります。 他社においてもそういう傾向にあるように見えます。制作に関わるチャンスが数年前より多くなっていますね。

リクルーターの方々へ

上の方では少々格好つけた言い回しをしていて "大変ダサい" ですが、 より良い条件の行き先があったにも関わらず、挑戦してみようかと前向きに思ったのは、割と些細な切っ掛けだったりします。

以前選考を受けに来たときに、2, 3 回顔を合わせてメールでやり取りしただけの自分の顔を、 (素敵な)リクルーターのお姉さんが覚えていてくれて、再度の選考を受けに訪問した際に、声をかけてくれた、ってそれだけです。

受付や案内、面接の担当もそのお姉さんではなかったのですが、ちょっとすれ違った時に声をかけてもらいました。 それが何となく好印象で、前向き検討の理由になった気がしています。

まぁ人の繋がりを重要視するポジションにある人たちからしたら当たり前のテクニックなのかもしれませんが、 そういった細かいところが、就活生を引き留める切っ掛けにもなるかもしれません、ということを書いておきたかったです。

企業側・リクルーターからしたら、もしかしたら百人なり数百人のうちの 1 人かもしれませんが、 就職活動性からすると、精々十数社に 1 人の相手ですし、リクルーターの方々は 1 人でも多く幸せな人を増やしてほしいと思います(下記に就職における幸・不幸について言及しています)。

採用を通過できなかったとき

チームラボに限った話ではなくて、これは自分が就職活動をしていたとき良く思っていたことです。 ぼんやりとどこかで聞いた話だった気がします。

もし採用選考を通過しなかったとしても、「この人はウチで働いたら不幸になる」と判断してくれたのだ、と思うようにしましょう。

特に、リクルーターではなくて、実際にその職場で働いている人が選考に関わったのであれば、そう信じたほうが幸せです(そもそも意地悪で落とそうなんて思わない)。

「この人が同じ職場で働くとして、性格はどうか、適正はどうか、任せられることがあるか、一緒に仕事ができるか」は、よく見られています。 もし無理に押し通したとして、入った後で苦しいばかりでは不幸です。

不幸を回避させてくれたのだと思えば、気持ち良く不採用の連絡を受け入れられます。